今年5月に、私が関わっている歴史的建造物が、日本遺産構成文化財に認定されました。
建設99年目にして、取り壊しの危機にあった建物ですが、これからは文化財として活かしていきたいと思います。もともと石炭の積出を行うための”荷付け”が行われていた、小さな木造の建物です。
振り返ってみると、取り壊しの危機にあったのが、2014年。同年、社団法人を立てて建屋を買取り、翌年の2015年春、映画撮影で使われ、俳優の大杉漣さん、大塚寧々さん、香川京子さん、河合龍之介さん、坂本長利さんが来られました。
特に、大杉漣さんと香川京子さんの撮影シーンはとてもオーラがあり、印象深かったです。やはり熟練プロの共演というのは凄いなあと感じました。漣さんとは、何度かお話し、写真も何度か一緒に撮っていただいたのですが、ユーモアのある気さくな方でしたので、昨年突然亡くなられてしまいとても残念です。
この日本遺産そのものは、明治期の明治産業革命、そして、大正・昭和の日本経済を支えた石炭に関わった人たちの記憶が詰まったもので、全国で100個認定されたようですが、日本の歴史からすると、石炭産業は比較的新しいほうで、西に行くほどもっと古いストーリーがあります。こうした遺産を如何に”未来への示唆”のあるものとして活かすかがこれから問われるところだと思います。
日本の古い時代には、人口は数十万人しかいなかったり、社会の体制も、食生活も違ったはずですから、そういった事実と、現代に失われたが大切なものは何なのか。世界目線、異分野目線など、多面的に見て行く中で、光るものを発見するのが私のテーマの1つです。