楽しく「脳」にアルゴリズムをインストール

私が脳科学と出会ったのは、1990年代のことでした。

私が居た研究室で脳研究を行っていたことがきっかけですが、そのとき、「心」の領域といった哲学的な内容まで科学が踏み込みはじめていたことに驚愕したものです。

ちょうどその時期は、脳細胞は分裂しないといった説が覆された直後くらいの時期で、 さらに、fMRIなど脳の測定装置が開発された時期でもあって、 世界的に発見が相次ぎ、第二次AIブームが終わるタイミングにあっても、より完成度の高いAIの開発が行われていた時期でもありました。

ネオコグニトロンが開発されたのが、1979年。多層ニューラルネットワークが、2006-2012年と、ディープラーニングの時代に入ることになります。

ディープラーニングは、いま様々な領域に実装されてきています。特にビジネスでは、人の作業を代替え・強化をするわけですが、その一方で、人は人でなければできないことを強化していく必要があります。

2022年には、高校大学でも、「数理・データサイエンス・AI」が必須又は選択となりますが(すでに始まった学校もありますが)、一つの専門をしっかりやることはもちろん、専門を超えていく柔軟さがとても大事になります。

2030年には、3人に1人しか労働人口がいなくなるのですから、良くも悪くも、1専門で一生とはいかない時代に入るかもしれません。そうすると、健康であれば、高校大学生だけではなく、年配の人たちも一生で多専門を扱えることも大事になります。

少なくとも、ただ生きていくにも、様々な専門知識が必要な時代です。たとえば、来年1月からはじまるRCEPで様々な国から安価な野菜や商品が入ってきますが、健康を軸にどれを選択するか、ということ1つとっても、それなりの知識が必要です。これなんかは、AIが得意などというものではありません。まず、添加物や農薬などの食の安全を自分自身で判断することが出来なければなりません。

私は、パンデミック時代に入ってから、そもそも健康は何かと考えて、いろいろ勉強しましたが、おかげでより良い健康管理ができるようになりました。新しい発見や繋がりもできました。これは、自分の脳に新しいアルゴリズムをインストールしたようなものです。AIはアルゴリズムで動いていますが、人間の脳も同じことです。そして、頭がいっぱいでもう入らないということもありません。

これからは、脳の補助的な存在として道具としてAIを使う時代です。自分の脳のクセを知り、脳のしくみを知ることは、自分のトリセツを読むようなものですから、楽しくトリセツを読んで一生活用することが、ポジティブな未来に繋がると私は思います。